ジャーマンアイリスの育て方
育て方の優しいジャーマンアイリス
ジャーマンアイリスはもともとヨーロッパ、地中海沿岸のアイリスを元に品種改良され現在の姿になりました。豊富な花色があり、白、黄色、紫、アプリコットなどがあり、レインボーリリーと呼ばれることもありますし花にヒゲがあるように見えることからヒゲアイリスと呼ばれることもあります。
日本のアヤメが水辺に生息していることから、このアイリスもなんとなく湿地で育てる印象を持つ方もいますが、実はアヤメ類とは違い乾燥を好む品種です。水やりを控えて乾燥気味に育て、肥料もあまりやらないほうが育成がいい、手のかからない植物と言えるでしょう。植えっぱなしでもよく育つ、園芸初心者の方でも入りやすい品種なのです。
ジャーマンアイリスの育て方
まずこの品種を栽培する際の植え付けと育て方を紹介します。乾燥地帯で生まれた品種ですので、庭植えをする際も鉢植えをする際にも根茎が表面に見えるくらいの浅植えにするのがポイントです。根がしっかり張るまでは時間がかかりますので特にはじめは風で倒れることがないように支柱を立てて支えてあげましょう。
鉢植えにする際には根が育っていく方向に余裕を持たせて、隙間を空けて植え付けるようにしましょう。育て方が楽なこの品種は水遣りがほとんどいらないのもメリットです。庭植えの場合には植え付け時以外はほとんど水遣りをしなくてもよいほど、乾燥気味に育てます。
日照り続きの真夏のみ定期定期に水を与えれば良いでしょう。鉢植えの場合には週に一回程度下から水が出るくらいたっぷりと水を与えます。毎日の水やりは不要で、水を与えすぎると根が軟弱になり腐ってしまうこともあるので注意が必要です。生まれ育ったヨーロッパや中東の気候にならって乾燥気味に育てるのが栽培の大きなポイントになります。
肥料に関しても特に庭植えの場合には施肥をする必要がありません。余りにも窒素分の多い肥料を与えると軟腐病にかかってしまうことがあります。痩せた土地の場合のみ窒素分の少ない肥料を与えましょう。鉢植えの場合は2週間に一回程度の割合で液肥を与えるのが良いでしょう。
置き場所は日当たり重視で選びます。ジャーマンアイリスは日光が必要な植物です。鉢植えなどで育てる場合には日頃は日当たりの良い屋外に置き、梅雨の時期には雨のかからない屋根の下などに移してあげましょう。寒さにはとても強く戸外での管理ができますが、日本の梅雨や秋の長雨などの高温多湿が苦手です。適宜雨の当たらない場所に動かすことで上手に管理できるようになります。
ジャーマンアイリスの植え替えと株分け
ジャーマンアイリスの栽培は植えっぱなしでも可能ですが、3年に1書いていど植え替えをすることで育成が良くなります。3年ほど経つと根茎が腐ってくる部分があり、それを取り除くことで病気が増えるのを防ぐことができます。この植え替えの時期は高温多湿の梅雨や、暑さの厳しい真夏は避けてよく晴れた秋の時期に行うのが良いでしょう。
ジャーマンアイリスは根茎で増えていく植物ですので種付けをしません。種付けの代わりに株分けをすることで増やすことができます。花が付いても実がなり、種付けをすることはありません。繁殖は種付けをせずに株分けで植え直しをします。花が終わったら花茎を株元付近で切り取り、そのまま梅雨が明けるまで栽培します。
そうすることで根茎に負担をかけることなく太らせることが出来るのです。梅雨が終わった頃、根茎を掘り、ひと株に芽が1個から2個つくようにして切り分けます。葉は半分まで切り詰めて、切り口を乾かしてから植え直しをしましょう。こうすることでジャーマンアイリスを増やしていくことができます。
ジャーマンアイリスは害虫はあまり付きませんが、モザイク病などの病気になってしまうことがありますので、予防のためにも殺菌剤を定期的にスプレーすると安心です。梅雨の高温多湿で根茎が弱り、軟腐病になることがありますので、こまめな枯葉や花がらつみをして、風通しを良くして病気の予防に努めましょう。
よく育てるための土は有機質に富んだ水はけの良い土です。赤玉土と腐葉土を半々程度に混ぜ合わせた土を使って植え付けましょう。水はけの良くない庭に植える場合には土を盛り上げて山だかにすることで水はけを改善することができます。この親方を高うね植えといい、ジャーマンアイリスの植え付けによく使われます。
弱アルカリ性の土を好みますので植え付けの際には2か前くらいに石灰を混ぜ込んで酸性を中和していくと良く育ちます。園芸が初めての方でも手軽に美しい花を咲かせることができる管理の楽さがジャーマンアイリスの魅力です。
ボリュームのあるカラフルな花で庭を彩ることができ、定期的な株分けで増やしていくこともできます。梅雨の時期の高温多湿にのみ注意して育てることで、手軽に栽培することができます。
ジャーマンアイリスの歴史
ジャーマンアイリスは1800年代にヨーロッパで品種改良がされました。もともとヨーロッパから中東にかけてはアヤメ類やアイリス類が豊富でさまざまな品種を見ることができましたが、人気が高まるにつれて品種改良が盛んになります。1840年頃にはフランスで多くの品種が発表されましたが、花も小ぶりで現在の品種とは見た目もかなり違ったとされています。
アイリス類の品種改良の基礎をつくったダイクスという方はさまざまな大輪の品種を開発したことで有名で、この方にちなんでアイリス協会によりその年最も優秀な品種にはダイクス・メダルという賞が与えられます。現在の品種改良の中心はアメリカですが、毎年色とりどりの品種が発表されて膨大な数のジャーマンアイリスが生まれ続けています。
ジャーマンアイリスの特徴
ジャーマンアイリスはヨーロッパ・中東原産で、この地域に広く生息しているさまざまなアヤメ、アイリス類が掛け合わさりできた、園芸品種です。生息地がヨーロッパで主にドイツで品種改良が進んだこと、品種改良の中心となった品種がイリス;・ゲルマニアという名前だったために日本ではジャーマンアイリスという名前で呼ばれています。
地面に太い根茎が枝分かれしながら這うように横にのびて増えていくのが特徴で、葉は平たく先端は尖り、灰色がかった緑色をしています。草丈はそれほど高くなく30センチ程度ですが、中には1メートル近くなる品種もあります。開花期は4月下旬から5月で、一本の茎から5個、10個とつぼみをつけて開花させます。
花の姿は大変ユニークで立体的、茎に対して花のボリュームが大きく見ごたえがあります。花色も多様で、白、黄色、ピンク、むらさき、アプリコット、青、黒のように見える濃い紫、茶色がありますが、赤いものはまだありません。
冬場は葉や茎は枯れて何もなくなったかのような状態に見えますが、根茎は休眠しており、来年また芽を出し、美しい花を咲かせてくれます。花壇やプランターなどで楽しむのも良いですし、切花として室内に飾るのも適している豪華な花です。ジャーマンアイリスは生花の花としても人気があります。
水揚げがよく、活けても花が長持ちする上にすっとした花様や葉の様子、華やかで室内をカラフルに彩る魅力があるためです。日本のアヤメにはない、アプリコットや青、茶など珍しいカラーも年代を問わず多くの方に好まれているのが特徴です。
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