サザンカの育て方
基本的なサザンカの育て方
日本に自生している植物と言うこともあって、日当たりの良いところから少し日陰になるところまで、いろいろなところで栽培することができます。ただ、日陰になりすぎると生育は少し悪くなりますから、日陰の場所に植える場合であっても、できるだけ明るい場所を選んだ方が良いです。
西日が当たりすぎると木を傷めてしまうことにもなりかねませんから、できることなら西日の当たらない場所を選んだ方が良いです。耐寒性はあまり強くはありません。ですから、冬に乾いた風が当たるような場所は栽培には適していません。また、-5度を切るくらいの寒さになれば、傍観をした方が良いでしょう。
鉢植えで実地植えでも、植えてからしばらくの間は根が張るまでしっかりと水をやります。長く見れば2年くらいはたっぷりと水をやっておいた方が良いです。なお、開花する時期には花弁を広げるために多くの水を必要としますから、この時期に水やりをしっかりと行うことは必要なことです。
サザンカはどちらかというと酸性の土壌を好みます。種付けの時にも施肥の時にもこの点には注意しておきましょう。土壌がアルカリ性の場合、葉が黄色くなるなど、生育が悪くなることがあります。この場合には、硫酸アンモニウム系の肥料を与えるなどして、土壌を改良するのが良いです。これによって木の勢いが回復することもあります。弱ったときには土壌がどうなっているのかをチェックしてみましょう。
サザンカを美しくするためには
サザンカの育て方は、実は難しいものではありませんが、花を楽しむものだと言うことは忘れてはなりません。花を楽しむためにしなければならないことがいくつかあります。種付けを行って順調に木が育ってくれば、定期的に剪定を行っていく必要があります。3月から4月の間に行うのが一般的です。
剪定の方法にはいくつかありますが、葉が密集するために、刈り込みによって形を整えるのが良いです。数年に一回は枝をすかし、伸びすぎた枝を短くするようにします。このように強剪定をすることによって木は弱ってしまいますから、毎年するのは良くありません。
また、花芽形成がなされた後に強剪定を行ってしまうと、花が咲かなくなりますから注意が必要です。毎年の剪定は刈り込みばさみで伸びすぎたところの形を整えるようにして、そして数年に一度だけ強剪定で小さくしていくのが良いです。剪定とともに花がら摘みも行うべきです。
花が咲き終って散るのも風流だと感じる人もいるようですが、正直なところあまりきれいなものではありませんから、花が咲き終わったら花ごと摘み取ります。この際には、根元からしっかり摘み取るようにします。受粉して子房が生育すると、子房に養分をとられてしまいます。
ですから、花びらだけをとるのではなくて、根元からしっかりととって、養分をとられないようにするのが良いです。花が咲き終わってからまとめて行うのも良いですし、花が咲く時期には毎日チェックして、咲き終わったものから順番に摘み取っていくのも良い方法です。
サザンカの植え付けと管理
サザンカを種付けからするのは、おそらくごく限られた人でしょう。というのは、種付けをするとどのようなものが育つのかが分からないからです。通常は苗を買ってきて、それを育てます。こうすることによって、種付けをするよりも確実にきれいな花を咲かせることができます。
地植えをすると大きくなりますし、管理の手間も省けますがから栽培もしやすいですが、鉢植えで楽しむこともできます。地植えをするデメリットは、手入れを怠ってしまうと一気に成長してしまうことです。毎年剪定をしていれば成長を止めることはできますが、剪定をしない年があると、かなり大きくなってしまいます。
鉢植えの場合には、手入れをしないと弱ってしまうこともありますが、大きくなりすぎてどうしようもなくなるといったことは考えにくいです。どちらにもメリットはありますから、庭のスペースや用途に合わせて選びましょう。
どちらの場合でも、春の3月から4月頃に植えるのが良いです。秋に植えても良いですが、その場合には9月中旬から10月中旬頃にしましょう。この時期は木の勢いがありますから、育て方は難しくはありません。有機肥料か緩効性化学肥料を原肥として入れておくのが良いです。アルカリ性の土壌では育ちにくい場合があります。
コンクリートブロックがあるとアルカリ性になりやすいですから、建物に近い場所はあまり適していません。もしもその場所しかないのであれば、弱酸性の土壌になるように有機物を多く混ぜた土壌を選ぶようにします。
増やすときには挿し木で行うのが通例です。6月から8月に、10センチから20センチほどを切り取り、水揚げ後に新しい土の上に指します。直射日光によって乾燥しすぎるのは良くありません。明るい場所で、湿度を失わないような育て方がベストで、たとえば透明のビニール袋に入れるなどして湿度を保ちます。このようにして栽培しておけば、その年の内に鉢上げができます。
サザンカの歴史
サザンカは、元々日本に自生している植物です。ツバキとは種が異なりますが、属のレベルではツバキと同じですから、近縁種だと言えるでしょう。ツバキやサザンカの生息地は広く、原産がどこなのかと言うことはわかりにくいのですが、熱帯から亜熱帯にまで広がっていて、日本はどちらかというと生息地の中では北限に位置します。
その歴史をたどっていきたいところなのですが、実はツバキとサザンカは厳密に区別されていなかったようです。文献に出てくるのは江戸時代前期頃で、最も古いのが室町時代だと考えられています。室町時代には庭園での観賞用として用いられるようになったようですが、ツバキに比べるとあまりポピュラーなものではなかったようです。
最近では品種改良が進んでいて多くの人が知るところとなっていますが、ツバキに比べるとあまり人気はなかったそうです。江戸時代には園芸での品種改良が盛んになりますが、そのときにサザンカも品種改良がなされるようになります。それが現在の直接的な起源だとも考えられています。その後は、日本だけではなくてヨーロッパで紹介され、アメリカでも品種改良が進んでいますから、グローバルな植物だと言えるでしょう。
サザンカの特徴
特徴はというと、ツバキと同じようなものだと考えられますが、違いはいくつかあります。まず、花びらが1枚ずつ散っていくことです。ツバキの花はまとまって全体が落ちるという特徴がありますが、それとは違って花弁がばらばらになって1枚ずつ散っていきます。花が完全に開くというのも特徴の一つです。
ツバキの花は完全には開かず、丸まった状態で花を咲かせるのとは対照的だと言えるでしょう。開花時期にも特徴があります。開花時期は品種によりますが、だいたい10月から12月です。野生種がこの時期で、品種改良によっていろいろな時期に咲くものもありますが、ツバキよりも早秋から春に咲くのと比べると、時期は少し異なります。耐寒性はツバキよりも弱いという特徴があります。
いろいろな品種があるのですが、一般的にサザンカと呼ばれている原種以外に、ツバキとの交雑によって生まれたものも含めることが多いです。その代表的なものがカンツバキで、カンツバキはツバキとの交雑によって得られた園芸品種です。他にもハルサザンカというものもありますが、これもツバキとの交雑によって生まれたもので、この3つで細かい部分は異なります。
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