ジャガイモの育て方
ジャガイモの育てる環境について
すでに述べた通り、ジャガイモを栽培するには涼しい土地が望ましいです。具体的な適温は発芽なら18度から20度、育成には15度から24度です。これはあくまで望ましい温度で、ある程度高くても低くても構いませんが、30度を超えると芋にはなりません。
また、あまりに低すぎると発芽しにくいです。ですから、春植えか秋植えをしましょう。収穫まで3ヶ月程度なので夏や冬が来るまでには育てることが出来ます。次に栽培する場所です。畑があるならよいのですが、プランターを使うなら出来るだけ深いものを使ってください。
増し土といって、育てている間に何度か土を上から足さなくてはならないので、プランターが浅いものだと途中で上の縁から土がはみ出してしまい育てられなくなります。また、増し土のことを考慮して、プランターに土を入れるときは満杯にせず余裕を残しておきましょう。
例えば30cmのプランターを使うのであれば、底から20cmぐらいの土を入れるとよいです。土は肥料と培養土を1対3ぐらいの割合で使用すればよいでしょう。畑で育てる場合ですが、ジャガイモはナス科なので連作障害を起こします。
同じ畑で続けてジャガイモの栽培を行うと土壌のバランスを崩して育ちにくくなるだけでなく、寄生虫や病原菌が発生します。ですから、休作や輪作をするなどして続けてジャガイモを作らないようにしましょう。
土の質ですが、酸性の土壌では育ちません。PHメーターやアースチェック液などで酸度を測定して、もしpH5.0以下であれば苦土石灰を混ぜて調整しましょう。ただしpH6.0を超えないように気をつけてください。適正値はpH5.0から6.0です。
種付けや水やり、肥料について
育て方ですが、種芋を植えることから始めます。もちろん種芋はジャガイモそのものですが、食用として売られているものや自家栽培したものは、ウイルス病を持っている可能性があります。食べるぶんには問題ありませんが、種芋として使うとなると育ちが悪かったり収穫量が減ったりでお勧めできません。
園芸店などで種芋用として売られているのでそれを購入して使用しましょう。植え付けする時期は春なら3月、秋なら8月下旬から9月中旬がよいです。ただし、霜に弱いので気をつけてください。種芋が発芽していないのであれば日光に当てて発芽を促しましょう。
種芋は卵ぐらいの大きさなら二等分、それよりも大きければ三等分、四等分してください。それぞれに芽があるように切ってください。切り口が濡れたままだとウイルスにかかりやすいので乾かしてから植えてください。土も乾いている方が良いので晴天を選んで植えましょう。
あと、畑で栽培するなら2週間前には耕しておきましょう。植える間隔は20~30cmずつあけてください。深さは5~8cmぐらい掘って埋めてください。もちろん芽が上を向くように、切り口を下に向けて埋めてください。
水やりは、種芋を植えつけた後にたっぷりとやる必要があります。しかし、その後はする必要はありません。自然に降る雨で十分です。肥料については酸性の度合いに気をつければ気にしなくて構いません。むしろアブラムシがつきやすくなるのであとから追加する必要はありません。
ジャガイモの増やし方や害虫について
観賞用として育てるなら前項までで十分ですが、食用として収穫量を上げるのなら植えつけた後も大事になってきます。植え付け後、一つの種芋から複数の目が出てきたら芽かきをします。10cm地上に出てきたら、育ちの良い物を1本か2本残して他は根元をおさえて引き抜いてください。
芽かきが終われば土を根元に寄せて盛るような形にしてください。プランター栽培であれば土を足せばよいでしょう。土の中の芋が大きくなってきますが、地上に露出して緑化するのを防ぐために行うのです。ですから土寄せの量が不安なら土を足してください。
これは一度だけではなく、芽かきのあと2~3週間後にも再度行ってください。芋はどんどん成長していきます。収穫は茎や葉が黄色く変色しだした頃です。ただ湿気に弱いので晴天が3日ほど続いた後に行い、半日ほど日陰に並べて干しましょう。
さて、収穫したジャガイモで新たに栽培したいところですが、先に述べた通りウイルス病を持っている可能性があるので園芸店なので販売されている専用の種芋を購入するのが無難です。自家栽培だけで増やし続けるのは諦めてください。病気予防については、薬物を使うのであればSTダコニール1000を使えばよいです。
それ以外は連作を行わないことと、土の排水と通気を良くすることに気をつけてください。ジャガイモにつきやすい害虫は、アブラムシやヨトウムシ、テントウムシダマシなどがあります。害虫はウイルス病の媒介となりやすいので、見つけ次第駆除することをお勧めします。
ジャガイモの歴史
ジャガイモの原産地は南米のペルーやチリのあたりだといわれ、今から9000年前にはその地でトウモロコシと共に重要な食材だったようです。長らく他大陸の人間には知られていませんでしたが、アメリカ大陸発見後の十六世紀後半にようやくヨーロッパ大陸に持ち帰られました。
しかし、最初は花の美しさから観賞用として広まり食材としての価値は認められていませんでした。それどころか食べると食中毒を起こすと悪評が広まり、教会からは悪魔の植物に認定されるにまで至りました。ヨーロッパにおけるジャガイモの転機は、プロイセン(ドイツ)のフリードリヒ大王による食糧飢饉対策です。
十八世紀は各地で飢饉が起こり食料不足に悩まされる時代でした。寒冷でも土地が荒れていても高い収穫を望めるジャガイモに目をつけたフリードリヒ大王は、それまでの悪評を払拭して農民たちに栽培を促進し収穫高を飛躍的に伸ばし危機を乗り越えたのです。
その後19世紀にはヨーロッパ各地にジャガイモ栽培が広まり、現在は食料品として親しまれるようになりました。さて、日本にジャガイモが伝わったのは、一五九八年にオランダ人が長崎に持ち込んだのが最初だといわれています。当時はあまり食べられることはなく、ヨーロッパと同じく観賞用という認識しかありませんでした。
日本で食用として本格的に広まったのは明治以降で、北海道の開拓民によって生産され、やがて全国各地に広がっていきました。食料品としては不遇の時代も有りましたが、今では世界四大作物の一つとして世界中で親しまれています。
ジャガイモの特徴
ジャガイモは、ナス目ナス科ナス属の多年草です。生息地としては高地など涼しい気候の土地があげられますが、寒冷地でも育ちます。日本では北海道が一番の生産地となっています。また栄養の少ない荒れた土地でも栽培することができます。
品種によって異なりますが、花は基本的に白か薄く紫がかった色をしていて夏に咲きます。芋と呼ばれるのは地中に埋まっている茎の部分にあたります。品種は改良がなされるなどずいぶんと増え、世界中で存在する種類は2000種を超えるといわれています。
そのうち日本では約百種あり、メークインや馬鈴薯、男爵薯といったところが有名です。ジャガイモといえば食材として有名ですが、澱粉の原材としても知られています。得られる栄養としてはビタミンCが豊富で、他にはカリウムなどが含まれています。
保存方法は暗い場所に保管するのが良いとされています。太陽や蛍光灯など光に当たり続けていると緑色に変色しますが、それはグリコアルカロイドという毒が生成されているのです。あと発芽部分にもこの毒が含まれています。
このようなジャガイモを食べるときは、緑色の部分と芽を確実に除去しなくてはなりません。もし毒の部分を食べてしまった場合、頭痛や嘔吐、下痢、胃炎を起こしかねません。あとは温度の低い場所が劣化しにくいのですが、
0度以下になると澱粉質を壊してしまい味が悪くなってしまいます。気温が氷点下になるような地域は注意が必要です。温度は五度ぐらいがいいでしょう。また、低温なら発芽しにくくなるという利点があります。
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