ナツハゼの育て方
ナツハゼの育て方
ナツハゼは野生の自生地は林縁の斜面地などです。ですから栽培する時は水はけが良く、乾き過ぎない西日の当たらない日なたから半日陰の場所を選択するのが良いでしょう。根づいてしまえばすくすくと生育して枝が茂って大きく育ちます。
そのため、鉢植えよりは庭植えで育てたほうがいいです。植え付けは3月もしくは9月から12月頃までに行います。植える時には根鉢の大きさの2倍の深さと直径の穴を掘ります。そして掘り上げた土の2分の1ほどのピートモスを1、腐葉土を1にして混ぜ合わせたものを土に混ぜ込んでおきます。
この作業は土壌を酸性にし、水はけを良くするためです。ナツハゼの根は細い上、表の土近くに浅く広く張ります。ですからできるだけ深く植えないようにするのがポイントです。また乾燥を防ぐために植えつけ後には株元にマルチングをしておきましょう。水は根付いてしまえば必要ありませんが、
夏の高温期だけは土が乾きすぎてしまうことがありますので朝か夕方に土にしみこむ程度の水を与えます。あまりに土が乾燥してしまっていると果実がつきにくくなってしまうからです。肥料は開花が終わって新梢が伸びてくる6月と寒肥として12月から1月頃に粒状肥料を適量与えます。もしくは固形の油粕を与えておきましょう。
栽培する上で行なうこと
ナツハゼを栽培する時にやらなければいけないことに剪定があります。小さな苗であれば1年から2年目くらいまでは枝先を15cmほど切り戻して、新しく勢いのある枝を出させるようにします。果実をつけるようになった株の樹高を抑えたい時は自分が希望している高さで剪定を行います。
落葉期である12月から2月頃が適期で、この時には内側に伸びた枝や枯れ枝を取り除く作業を行ないます。夏になるとその年に伸びた枝先に花芽がつくので、夏以降の剪定では翌年の春に花が咲かなくなってしまいます。
種付けできるのか?
ナツハゼを増やしたい時には挿し木もしくは種まきで増やしていきます。今年伸びた新梢が堅くなる6月に長さ15cmほどで切り取って先端の葉を2、3組程度残して、あとは摘み取ってしまいます。30分間ほど水揚げをして、小粒の赤玉土か挿し木用の土に葉が触れる程の深さにして挿しておきます。
また果実が熟すと、その果肉に混ざって種が入っています。種は淡い褐色で大きさはわずか2ミリ程度です。種皮には細かい編み目模様があるのが特徴的です。果実は10月から11月頃が収穫時期ですので、種を採取するのであればこの時期に行ないます。
採取した果実から水で洗いながら種だけを取り出します。この作業を行なう時にはざるを使うと便利ですが、目はできるだけ細かいものにしたほうがナツハゼの細かい種が流れ落ちていきません。種まきをする時には小粒の赤玉土を入れた箱に細かくしてふるったミズゴケ、酸度未調整ピートモスを敷いておきます。
その上に種をまいたら土はかぶせずにそのままにしておきます。発芽させるためには光が必要だからです。あとは乾かさないように管理をしっかりしていれば春には発芽します。秋にまかないのであれば採取した種は封筒などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存しておきましょう。そして3月か4月頃になったらまくようにします。
ナツハゼの実でいろんな料理を作ることができます。例えば果実酒は35度のホワイトリカーと氷砂糖、ナツハゼの実があれば簡単に作ることができます。まずお酒を保存するビンを熱湯消毒しておき、あとはビンの中に水気をきったナツハゼと氷砂糖、ホワイトリカーを入れて漬けておきます。
飲み頃は3か月後くらいです。そのくらいの時期になったらビンの中からナツハゼの実を取り出してしまいます。取り出したナツハゼの実はジャムなどにして利用することができます。ちなみにこのお酒の中に漬け込んであった実は取り出す頃になってもまだ真っ黒のままです。
お酒は色も味もまるでワインのようなおいしさに出来上がっています。ジャムはブルーベリーに味が似ていますが、ブルーベリーよりも酸味が強く、アントシアニンも多いです。ジャムを作る時に必要なものは実と実の重さに対して50%ほどの砂糖です。
なべに砂糖と実を入れて弱火で加熱し、砂糖が溶けて水分が出始めたら灰汁をきれいに取り除いておき、灰汁が出なくなったら火を止めます。皮が少し硬い場合はこの煮込んだものを裏ごしします。そしてもう1度鍋に戻してひと煮立ちさせてか煮沸消毒したビンなどにつめておきます。
できあがったナツハゼジャムはヨーグルトにかけて食べてもおいしいですし、ケーキやパンに混ぜ込んで使ってもおいしくできあがります。果実酒は目や体の疲れがひどい時などに健康酒のように飲んでみるのも良いでしょう。他には実をミキサーにかけてジュースにしてもいいですし、肉料理にかけるソースに仕上げてもおいしく食べることができます。
ナツハゼの歴史を知ろう
ナツハゼはジャパニーズブルーベリーや山の黒真珠と呼ばれており、原産や生息地は東アジアです。日本はもちろん朝鮮半島や中国などでも自生しています。ナツハゼという名がつけられたのは夏にハゼのように真っ赤に紅葉するからです。また実の色がなすの色に似ているので山ナスビという別名もあります。
ナツハゼの実は昔から目の疲労回復や血液の浄化にもとても効果的だといわれてきました。アントシアニンやポリフェノールがブルーベリーの2倍から3倍も含まれているのです。不眠症や冷え性にも効果的だといわれています。
学名をVaccinium oldhamiといいますが、このVacciniumとはコケモモのこと、種小名のoldhamiはリチャード・オールダムというイギリス人が江戸時代末期にイギリスの王立植物園から派遣されて来日し、植物を採集したことからそうつけられました。
若い果実は紅色をしていますが、熟してくると黒色に近い色になり、中に種が入っています。酸っぱいので生食は現在はあまりされることはなく、加工されることが多いですが、昔は山に入っている時の貴重な食べ物の一つとして人々の生活に入り込んでいました。
ナツハゼの特徴
ナツハゼの葉は約5cmほどで長楕円形から卵形をしており、ふちは波立っています。葉の表面には粗い毛が生えています。花は雄雌同株になっているので、受粉樹が必要ありません。花は5月から6月頃に咲きます。枝の先に総状花序を出して少し赤みのある淡い黄緑色の花が下向きにつきます。
淡い黄緑から赤色にまで変化をします。果実は8月から10月にかけて黒く熟してきます。実の表面には光沢があり、食べると甘酸っぱいです。実の頭頂部にはサクラの花のような模様がありますが、これは萼が落ちた跡です。樹皮は灰褐色でたてに薄く裂けてはがれます。
若い枝は赤褐色をしているのですぐに区別がつきます。若い枝にはまるで紙の折り目のような線状の隆起である稜があります。また短い軟毛や開出する腺毛が生えています。果実は果実酒やジャムにされることが多いです。
ナツハゼは平地に自生する植物で栽培することがそれほど難しくないのが特徴です。耐寒性も耐暑性もあり、根は地表の近くにはります。ナツハゼは庭が洋風でも和風でもあわせることができやすいです。病気や害虫が発生することはほとんどありませんが、念のために時々異常がないかを確認しておきます。
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