ナツツバキの育て方
ナツツバキの育て方
清楚な白い花が魅力的なナツツバキは、朝に開花して夕方には花を落としてしまう一日花のため、気づかないうちにひっそりと咲いていることがあります。奥ゆかしいような魅力が、庭木として選ばれている理由かもしれません。ナツツバキは大きくなるため庭植えが一般的ですが、例外的に鉢植えとしてコンパクトに仕立てることも可能です。
移植が苦手なため、大きくなってからの移植は困難な場合があります。ナツツバキを植えつける場所は慎重に決めましょう。もともとが日本に自生する植物ですから、育て方に特別な注意をはらわずとも自然に育ちますのであまり神経質になる必要はありません。
明るい日陰程度の場所が最も生育に適しているということができます。日当たりの良い場所に植えることが好ましいですが、半日陰の場所であっても生育します。たくさんの花を咲かせるためには日当たりが良い方が適していますが、乾燥に弱い面を持っているため直射日光が強烈にあたるような場所はさけましょう。
直射日光心配な場合は、最初から半日陰で育てることをおすすめします。適度な日当たりの場所をみつけたら、植えつけを行います。植えつけに適した季節は10月頃から12月頃までと、3月から4月頃までです。落葉期は株を弱らせてしまったり根付きずらい場合が考えられるため、植え付けすることは避けましょう。
植えつける際は掘り出した土と腐葉土をまぜあわせて土壌改良をし、有機質をたっぷりと含んだ肥沃な土を使用します。水持ちと水はけのよい用土が栽培に適しています。鉢植えの場合は赤玉土、腐葉土、川砂などを配合した土を使用しましょう。
植えつけたばかりの頃はとくに水やりには気を配った方が無難です。新芽が伸びてくる季節はたくさんの水分を必要としています。乾燥に弱いため、庭植えの場合でも土が乾いていたらたっぷりと水を与えます。夏場の鉢植えはとくに土が乾きやすいため、
土の表面が乾いていたら鉢底からあふれだすくらいたっぷり水を与える必要があります。ナツツバキは肥料を与えなくても多くの場合問題なく育ちます。庭植えの場合、生育が悪いようならば冬の間に化成肥料を与えましょう。鉢植えの場合は、春と開花時期に緩効性化成肥料を与えるようにします。
栽培中に注意したいこと
夏場の高温乾燥時は水切れに注意しましょう。水切れを起こすと枝が枯れてしまいます。夏場に枯らしてしまう原因は水切れが多いです。真夏は土の温度も高くなっています。木全体に水をまくような感じで散水するといいでしょう。とくに株元には西日があたらないように注意する必要があります。
根本をマルチングするか、グラウンドカバーに向いている植物を植えたりすることで、根本に直接西日をあてないような工夫をするといいでしょう。ツバキと違い、葉が薄いために西日のあたるような場所では葉やけをおこしたり、葉の先の方から枯れてしまう場合があります。
剪定を行う場合には注意したい点がいくつかあります。ナツツバキはとくに剪定しなくても自然に美しい樹形に整います。夏に強剪定を行うと最悪の場合は枯れてしまう可能性があります。剪定を行う場合は落葉期に込み合っている枝を取り除く程度に行いましょう。
剪定を最小限に行う、もしくは枯れた枝を取り除く程度にとどめることが丈夫に育てるコツです。枝の切り口から雑菌が浸入することがありますので、太い枝を切った後は切り口に癒合剤を使用するか、太い枝は切らないようにするといいでしょう。ナツツバキがかかりやすい病虫害はほとんどありませんが、まれにカミキリムシに食われることがあります。
成虫は幹に卵を産み付けて、ふかした幼虫は木の内部に侵入して食い荒らします。テッポウムシとして知られる害虫が、このカミキリムシの幼虫です。根本に木くずが落ちているような場合には被害が疑われます。早期発見が鍵となります。もし被害にあってしまったら、専用の薬剤をしようして駆除することをおすすめします。
ナツツバキの増やし方
挿し木や種付けで増やすことができます。挿し木に適している時期は6月から7月頃です。新しく伸びてきた枝を15センチメートル程度の長さに切断し、切り口を水を入れたコップなどにさして水揚げを行います。その後、充分に湿らせた小粒の赤玉土や挿し木用の用土にさして日陰で養生させます。
種を採取する場合は、花が終わった後に実を採取する必要があります。充分に熟した実の中から種を取り出してからまきます。充分に湿り気のある水持ちのいい用土にまくといいでしょう。春まで冷暗所で乾かさないように管理してからまく方法もありますが、
採取した後すぐにまいた方が発芽率が良い場合があります。種をまいた場所は乾かさないように管理します。丹精した木が子孫を残すのは嬉しいものです。発芽するまで二年くらい時間がかかることがありますので気長に待ちましょう。
ナツツバキの歴史
ナツツバキの原産地は日本で、主な生息地は本州から九州にかけての山の中です。ナツツバキはシャラ、あるいは沙羅の木として寺院などの庭によく植えられています。日本にとって馴染み深く古くから愛されてきた木です。沙羅双樹と誤解されていますが、
インドを原産地としている熱帯樹の沙羅双樹と日本を原産地とするナツツバキは別のものです。沙羅双樹は耐寒性が弱く日本では生育できません。ナツツバキと違い、春に芳香のある白い花を咲かせるという特徴があります。諸説ありますが、ナツツバキと沙羅双樹を見間違えた僧侶によって誤解が広まったといわれています。
沙羅双樹のかわりとして寺院などで育てられていたからという説もあります。沙羅の花は俳句の中に夏の季語として出てきます。有名な平家物語の中に出てくる沙羅双樹は、このナツツバキのことだと考えられています。ツバキという名がついているようにツバキと近い種類ではありますが、
別属に分類されています。学名はStewarita psedocamellia(スチュワーティア・プセウドカメリア)です。プセウドカメリアは「ツバキによく似ている」という意味があります。花の形はツバキによく似ており清涼感のある白い花を咲かせます。
ナツツバキの特徴
ナツツバキはツバキ科ナツツバキ属の落葉性高木です。6月から7月上旬頃に白い花が開花します。花弁は5枚でふちにぎざぎざがあり、花の大きさは約5センチメートル程度です。花糸は黄色で、花は一日花で咲いた後はそのままの姿で落ちます。葉は楕円形をしており、
長さは10センチメートル程度です。樹木の高さは5メートルから15メートルにもなりますが、剪定によって高さをおさえることが可能です。幹の樹皮は灰色がかった褐色をしており凹凸が少なくなめらかで、特徴的な樹皮をしています。樹皮がはがれた後はつるっとした質感になるため、
一部の地域ではサルスベリと呼ばれることがありますが、本来のサルスベリとは異なる樹木です。花だけでなく幹も観賞価値が高いため、庭木として家庭でも植えられています。白い花だけでなくつやのある葉をつけた木は涼しげな姿をしており、日陰を作り出してくれることからも庭のシンボルツリーとして人気があります。
もともと九州、四国、本州に自生しているため、日本の庭で無理なく成長することが可能です。ツバキと異なるところは、ツバキが常緑樹であることに対して、ナツツバキは冬に落葉するところです。ナツツバキの仲間に、小さな白い花を咲かせるヒメシャラや、ナツツバキとヒメシャラのちょうど中間程度の大きさの花を咲かせるヒコサンヒメシャラがあります。
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