インドゴムノキ(Ficus elastica)の育て方
インドゴムノキの育て方
品種によって葉色には様々なものがあります。栽培は簡単で、初心者が初めて観葉植物を育てるという場合にも向いている植物です。代表的な品種はデコラで、最も普及しておりデコラゴムノキと呼ばれます。丈夫で、肉厚の葉を持っていることが特徴です。
他に、葉にまだら模様がモザイクのように入るデコラ・バリエガタ、葉のふちに大きな白いまだら模様が入るデコラ・トリカラー、光沢のある赤みを帯びた黒い葉を持つバーガンディーなどです。部屋の雰囲気やインテリアに合わせて好みのものを選ぶとよいでしょう。
育て方はどの品種も同じですが、葉にまだら模様が入る品種は若干強い日差しに弱い傾向があります。いずれの品種も置き場所は日当たりの良い室内です。気温が高い方が良く育ちますが、温室などの極端な高温になる場所よりもレースカーテン越しの窓辺などの方が無難です。
水のやり方は、土の表面が乾いたらたっぷりと鉢底からあふれ出るくらい与えることが基本となります。温かい季節は生育が旺盛になるため、水やりの頻度は多くなります。気温の高さと同じくらい大切なのが湿度です。
乾燥しすぎないように時々霧吹きなどで葉水を与えるといいでしょう。冬は生育が緩慢になるため、水やりの回数は少なくします。土の表面が乾いて、しばらくたってから水を与えるようにしましょう。
肥料を与える場合は、生育期の5月から9月頃に与えます。あまり多くの肥料を与えると葉が大きくなりすぎてバランスが悪くなるため、春と秋にそれぞれ一回ゆっくりとした効き目の緩効性肥料を与えましょう。
用土は水はけがよく腐植質に富んだものを好みますが、市販されている観葉植物用の用土を使用すれば充分です。長い間同じ鉢で育てている場合は、大型のものなら二年に一回程度を目安に植え替えを行いましょう。
小さなものは根の様子を見て、鉢底から根が出ているようならば植え替えの目安とします。大きな鉢に植えかえる際に、ついでに切り戻しを行うといいでしょう。三分の一程度まで切り戻しをして大丈夫です。
栽培中に注意したいこと
インドゴムノキは生育旺盛でとても丈夫ですが、日照不足になると葉が落ちたり間のびしたような姿に育ってしまいます。少々暗い環境でも育ってくれますが、インドゴムノキはつやつやとした大きな葉が魅力的な観葉植物であるといえます。
健康的な美しい姿に育てるためには、年間を通してできるだけ日当たりの良い場所におくか、温かい季節はときどき屋外で日光浴をさせるようにしましょう。長い間植え替えをせずに放置しておくと根詰まりを起こして生育不良になる場合があります。
丈夫なため多少の根詰まりでも問題としない場合がありますが、放置し続けると葉が小さくなったり、落ちてしまったりします。植え替えの際は、ひとまわり大きな鉢に新しい用土で植え替えます。大きくしたくないという場合は、同じ鉢に新しい用土で植え替えるといいでしょう。
根鉢の土を三分の一ほど落として傷んだ根や枯れた根を取り除いてから植え替えます。高温多湿になると、灰色かび病や炭そ病などにかかる場合があります。灰色かび病はどんな植物にも出る恐れのある病気です。白や赤の斑点から、やがてカビが生えてきて不潔な状態になります。
炭そ病は葉に黒い斑点ができ、次第に大きくなって穴が開いたり枯れたりします。発見したら早い段階で専用の殺菌剤を使用して取り除きましょう。カイガラムシなどが発生すると葉の表面がフンで黒く汚れたようになります。ブラシなどを利用してこそげ落とすようにしましょう。病気や虫害は風通しをよくすることで防ぐことが可能です。
インドゴムノキの増やし方
インドゴムノキは種付けをしなくても挿し木という方法で簡単に増やすことができます。大体2節くらいを目安に枝を切断し、根っこ側の方についている葉を落としてから切り口を念入りに洗い流します。
切り口に樹液がついたままだと発根しずらいため、注意が必要です。インドゴムノキの葉は大きいため、一枚を残して後は取り除くようにして、残した葉は丸めてゴムなどでとめておきます。葉の面積が大きいと空気中に発散する水分が多くなってしまうためです。
しばらく水をいれたコップに切り口をさしてから、枝の長さの半分程度をよく湿らせた挿し木用の用土か小粒の赤玉土にさします。明るい日陰でさし床を乾かさないように管理しましょう。大体一か月程度で発根するので、発根後一か月程度おいてから鉢上げを行います。
挿し木に最適な季節は5月から7月の温かい季節です。気温が高い方が発根しやすくなります。挿し木で増やして、小さな観葉植物として楽しむといいでしょう。挿し木を行うことで、古く大きくなり過ぎた木をリフレッシュさせれば長期間にわたる栽培が楽しめます。
インドゴムノキの歴史
インドゴムノキの原産地はインド北西部のアッサム地方やインドシナ、ミャンマーなどです。熱帯や暖帯を生息地とし、およそ800種類が分布しています。園芸に用いられている品種は非常に多く、古くから親しまれている観葉植物の一つとして数えることができます。
ゴムノキ、フィカス、という名称で呼ばれることもあります。日本には明治時代の末期に渡来したといわれています。観葉植物として戦前から栽培されてきました。寒さに弱いため、鉢植えとして楽しみます。
熱帯アジアの地域では街路樹としても利用されています。合成ゴムが作られるようになる前には、ゴムノキの樹液を使用することが普通でした。かつてはこのインドゴムノキの樹液をからゴムの原料を採取していました。
しかし、現在ではトウダイグサ科のパラゴムノキから採取できる生ゴムが利用されています。パラはアマゾン川の河口にある港の名前に由来しており、ブラジルゴムノキの別名でも知られます。
インドゴムノキよりもパラゴムノキが使用されるようになったのは、樹液に含まれるゴムを作るために必要な成分の含有量がパラゴムノキの方が優れていたためです。両方ともゴムノキという名称で呼ばれますが、観葉植物のゴムノキといえばインドゴムノキを指すことが一般的です。
インドゴムノキの特徴
観葉植物の定番といっても過言ではないのが、インドゴムノキです。楕円形で光沢のある葉は観賞価値が高く、エキゾチックな雰囲気があります。インドゴムノキは、クワ科イチジク属の常緑高木です。自生地では30メートルから40メートルもの巨木に成長します。
野生の環境では多くの不定根が生え、ジャングルに生えている木のような雰囲気になります。観葉植物として園芸店などで販売されているインドゴムノキは、150センチメートル程度のサイズが多いです。
若い木ほど大きな葉がつき、大きなものでは長さが45センチメートル程度にまでなります。反対に年を経れば経るほど葉は小さくなります。葉は生長するあいだ赤い葉鞘に包まれており、葉が充分に大きくなると不要になり落下します。5度以上の気温で越冬が可能です。
観葉植物としては比較的耐寒性がある方ですが、日本の環境では冬は室内で鉢植えとして楽しみます。インドゴムノキの仲間にカシワバゴムノキがあります。その名のとおり葉が柏餅に利用される柏に似ていることから名づけられました。インドゴムノキよりも葉が大きいことが特徴です。
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